
当財団は1984年の創設以来、行政機関や多くの学識経験者のご支援を賜りながら“こころ”を重視した医療を確立するためにストレス科学に関する研究を推進してまいりましたが、昨今の科学・技術の進歩とともに職種の細分化が進み、特にゲノム医学/遺伝子組み換え技術、発生生物学/クローン胚作製技術、認知科学/ 高次脳機能解析技術などの生命科学/技術の応用が急速に進められつつある医療分野では、異職種間あるいは専門家・非専門家間の信頼関係の構築が益々強く求められるようになってまいりました。
このような急速な社会的変化に適正に対応するため、当財団は長年のストレス科学の実績を踏まえ、2004年8月、寄附行為の一部変更認可を受け、事業目的をストレスが心身の健康に及ぼす影響に関する研究並びに、生命医科学に関する研究とその支援を行うとともにそれらの成果を国民の疾病予防及び健康増進に反映させることにより国民保健の維持向上に寄与することとし、その研究の場として新たに先端生命医科学研究所を創設いたしました。
創設の主な目的は、先端生命科学・技術の医療への適正で効率の良い応用を可能にする複数の機能集団によって構成される‘安心’と‘信頼’の全国利用型開発研究システム、すなわち国内外の大学を含む研究機関のシードと医療におけるニードを繋ぐ場の構築、という公益事業を支援する国際トランスレーショナルリサーチ支援事業(TR)であります。
財団が担う事業としては、行政によるTRのための制度設計や指針策定への協力、TRのための人材育成、情報提供や公的資源の提供や試験薬の受託製造などの研究者支援、第三者機関によるTR評価審査協力、アジア地域を中心とする各国とのTR 国際協力の推進、オープン型TR センターの支援、全国に拡散しているTR 関連施設とのネットワーク形成の推進など、我が国が科学技術立国としての地位を確立する上で欠かせないものであり、日本の医療分野にとって意義のある事業と考えており、一つずつ着実に実現させ実績を上げていきたく存じます。
皆様の暖かいご支援とご指導を賜りますよう心からお願い申し上げる次第であります。
理事長
奥島 孝康