臨床研究支援事業

CSP-HOR《ヘルスアウトカムリサーチ支援事業》

Comprehensive Support Project for Health Outcomes Research

PROMIS

PROMISとは

概要

Patient Reported Outcomes Measurement Information System (PROMIS) は、患者自身による健康状態の報告(Patient-reported Outcomes: PROs)を測定・評価するシステムです。PROMISのプロジェクトは2004年に米国で米国国立衛生研究所(NIH)の支援を受けて始まり、従来のPRO評価が抱えていた課題(たとえば、尺度が標準化されていないため異なる尺度を用いた研究データの統合や比較が難しいこと、質問項目が多く回答者の負担が大きいこと)の解決を目指して開発が進められました。2008年に英語版の基本的なシステムが完成し、その後も継続的に改善が加えられ、現在まで臨床研究、臨床やケアの評価において活用されています。現在は世界20カ国以上で翻訳版が開発され、PROMIS Health Organization(PHO) を中心として世界規模での活用が広がっています。

PROMISは、健康を「身体的・精神的・社会的」の3つの側面から包括的に捉えることを基本として、項目反応理論(Item Response Theory:IRT)に基づいて設計されています。PROMISで用いる質問項目は統計的に精選されており、それらが、評価する概念別(例えば、身体機能、睡眠障害、不安、など)に、項目バンク(item bank)に集積されています。例えば、不安について評価する場合、不安の項目バンク(に集積された項目群)から回答者の状態に適する項目を選択して質問することができます(コンピュータ適応型テスト:CAT)。また、従来の尺度と同様に、固定された質問項目を用いて質問票(Short FormやProfileなど)として使用することもできます。さらに、研究や臨床の目的に応じて、項目バンクから適切な項目を選んで固定し、質問票を柔軟に設計することも可能です。

測定結果は、使用した方法や項目数に関わらず、共通の標準化されたTスコアで示されます。そのため、同一の概念について、異なる研究間や対象者集団間でも比較が可能になります。特定の疾患や病状に限定されず、幅広い対象に対応できる点もPROMISの大きな特長です。そのため、汎用的な評価ツールとして多様な場面で活用されており、今後ますます広がっていくことが予想されます。

PROMIS in Japan

日本語翻訳版の開発

PROMISでは、すべての翻訳版が共通のガイドラインに準拠して作成されています。
日本語翻訳版は現在も開発中ですが、一部の質問票については翻訳および妥当性の確認が完了しています。
日本語版の開発状況や使用については、ページ下部の連絡先までお問い合わせください。

PROMIS National Center-Japan (PNC-Japan)

PROMIS National Center(PNC)はPHOの傘下組織で、各国に設置されています。PHOと連携しながら、PROMIS を研究や日常臨床で効果的に活用できるように、開発・管理・改善・普及を推進し、それによって人々の健康状態の向上(健康アウトカムの改善)を目指しています。PNC-Japanのミッションは、日本国内におけるPROMISの活用を促進し、日本の人々の健康状態の改善に貢献することです。

具体的な役割は以下の通りです。

  • PROMIS 日本語版の開発および関連する実務・支援
  • 調査研究および日常臨床でのPROMIS の利用に関わる計画、実施、支援
  • PROMIS に関する教育および普及活動の実施
  • 日本国内におけるPROMIS 日本語版の管理と配布
  • PHOおよび国際PROMIS コミュニティとの連携

現在、PNC-Japanの役割は、PHO により認定された代表者である大石剛子(東北大学大学院医学系研究科)と、山口拓洋(東北大学大学院医学系研究科)が担っています。
https://www.promishealth.org/promis-national-centers-representatives/

お問い合わせ先

PROMISの使用や日本語版開発にご関心のある方、または情報提供・お問い合わせをご希望の方は、下記の連絡先までご連絡ください。

PNC-Japan事務局

pnc.japan[at]gmail.com

(※ [at] を @ に置き換えてご送信ください)

©️PNC-Japan